真面目と不器用の境界線

タイトルに特に意味はありません。
昔使用していた手帳にメモしてありました。
当時の彼(私)は何を考えていたのでしょうね。
さて、色々本読みました。



●海馬(糸井重里池谷裕二

脳科学者の池谷さんと糸井重里さんの対談本。
科学者とコピーライターという組み合わせから生まれる視点が面白かったです。
ほんまかいっ!と思う点も色々とありましたが。
私は(良くも悪くも)変化が多い人生こそが面白いだ。という考えの持ち主ですが、そういう「生きる上で刺激は必要」という部分についても書いてあり納得でした。
そういう意味ではコミュニケーションが下手くそという社交的でない性格は確実にマイナスですね。あっ、田舎暮らしも。


錯視の話も面白かった。私たちが生きている世界は知らぬ間にバイアスのかかった都合のいい世界に違いありません。
だとすると、「客観的」なんて概念にも「私的」という接頭語が必要かも。
あと、私、つらいとか面白くないとかいう感情をよく抱くんですが、ある意味では自分の希望なのかも知れませんね。それってMってことかい?


なんといっても一番のトピックは脳機能と睡眠の話ではないでしょうか。
脳が寝ている間に記憶を整理してくれるなんてのは聞いたことがありましたが、色々なインプットした因子の組み合わせを睡眠中に検証してくれる、というのは新鮮な情報でした。
最近、色々と(昔よりかは)本を読むようになり、「あっそういえばこれはこういう風に考えられるな」なんて事が増えてきた気がしますが、これはインプットした知識にたいする脳のレスポンスなのかと思いました。


結論として、学べば学ぶほど進化していける可能性が感じられる、しかも対数増殖的に。という事実に大興奮でした。
学ぶことは、頭が良くなるためなんかでなく、楽しく生きるためなんだなという考えになりました。やっぱ、楽しむために生きるてるんです。
これからも学び続ける事を楽しもう。



●思考の整理学(外山滋比古

東大・京大生が読む本なんて難しそうだわ!なんて思いましたが、読みやすい文体でボリュームも少なくサクッと読めました。
そして内容ですが、いやはや、驚きです。この本出版が1983年ですって。私と同い年です…。これはさておき、ほんとに驚き。
直前で読んだ「海馬」(2002年刊行)にかかれた内容も含めて、あらゆる指南が現代でも新しく感じられる内容なのですもの。
海馬がサイエンスの目線から書かれたものに対して、こちらは経験則的な方向から語られた感じでした。
作者の言葉を借りるならmethink的な。色々とめからうろこでした。


20年も前から、現行つめこみ式(グライダー的)学校教育の限界を指摘する声が上がっていたのに何ら改善がされていないという事に、日本の行政の改革否定的体質を改めて痛感。
子を育てるご両親様、今学校に文句を垂れたとしても、ポジティブに見積もっても改革がなされるのは子供がいい年になるころでしょうから、そんな暇があればご自身が学んで教える、もしくは適所を探してあげるのが正解かもしれません。


コンピュータと脳という部分について、情報蓄積では勝てないからそうでないところで勝負できるようになりなさいという風なコメントもありました。
これがPCが家庭などに普及する前に書かれているのが本当にすごいと感じました。
では、コンピュータにできないこと、我々が鍛えるべき事とは。
それが脳の触媒作用=知識と知識の化学変化、醗酵をおこす力であると。


実践的な部分としては、手帳やノート、カードを用いた情報のメタ化が紹介されています。
大事と思った情報を記録する。
そして寝かせる(しばらく忘れる)
改めて見ても重要か?
そうゆう事をしてみて、自分にとって有用な情報とそうでないものを整理する。
さらには組み合わせが生まれ、あらたな発想が生じる。
そんな感じ。


また忘れること、つまり忘却の肯定という部分もなんか救いがあって個人的にはうれしかった。
忘れる努力をしなさいなんて事も書いてあったし。
情報多寡の時代なんて言われてますが、すべて覚えておくなんて無理ですし、その必要もない。
まぁ、最大限に重要な情報は忘れませんよ。
そうでない情報の記憶はコンピュータのお仕事です。
そうなるとやっぱり人はその情報の組み合わせから発想する点に、人間たらしめる重要性があるという時代のようです。
個人的な感覚での解釈でいえば、組み合わせと想像(的計算)ですら今後コンピュータが浸食してくるであろうけれども、人間的な感情や感覚みたいな微妙な部分をくみ取り、それをエェ感じに処理するという人間特有のあいまい部分については、まだまだコンピュータの追いつける部分ではないでしょうね。


書くことの重要性(思考の整理という意味で)も書いてありましたが、そういう点をみるとこの下らない日記は少なくとも、自分の中での情報の記録と思考気持ちの整理という点で全く否定されるものではないと感じました。
これも救われた気分。


そしてなんですが、人を人たらしめるという意味の触媒能力についてですが、よいアイディアには考えの違う人と交流が良いとも書いてありました。
これは色々なところで耳にしますが。
要するに「化学反応させる“素材”」を共有できるわけなんですね。
また、自分が触媒できない素材も他人ならうまくコンバージョンできるかもしれないと。
この点について、交友関係の狭い私には救いがない。
つまり、この点は努力というか行動が必要ですが、どうしていいものやら…。


これで500円はほんまかなりのお買い得品と感じました。
学生向けに書かれた本のようですから、学生には特におすすめ。
漫画本買う金あったらこれを読みましょう。


年のため書いておきますが、作者の方も言ってますが、この本は決して「思考学」であって、最近はやりの「思考法」といういわゆるハウツー本ではありません。
そういう意味では、“思考”を促す役割はこちらの方に軍配があがるでしょうか。



●実践マーケティング戦略(佐藤義典)

●実践マーケティング思考(佐藤義典)

白いネコの本を読んで以来、佐藤さん的マーケティングの信者です。
週2回のメルマガ「売れたま」(http://www.mpara.com/mag.htm)購読してますが、これも面白いのでおすすめ。
さて、タイトルにも書いてありますが、実践で使える内容のマーケティング論が紹介されています。
マーケティング戦略について学んだことはないからあれなんですが、本書はは日本人に分りやすい言葉でアレンジされていてとっても使いやすい。というのが特徴と感じました。
たいてい海外から来た理論てそのままでは使いにくいものが多いですから。


「〜戦略」ではロジカルに現状を判断しつつ、現状の課題を見つけ、そこから今後の方向性を付けていく。そんあ感じです。
マインドフローの考え方はなるほどねぇと思いました。
BASiCSについては白猫本の復習的に読めました
マーケティングとはいかに客の視点に入り込めるかなんだぁ。
ここで紹介されている要素をきちんと見直し、一貫性を見いだせれば少なくとも会社がこけるという事はないでしょう。
当然、定期的アップデートは必須でしょうが。


そして「〜思考」
こちらは「〜戦略」にて書かれた理論的な手法では足りない部分を補ってくれるないようです。
とはいっても、決して価値の低い内容ではない、むしろこちらのほうが貴重な内容ではないかという印象でした。


マーケティングにおいて「一貫性」と「具体性」が重要要素で、多くはその片方しかできない場合が多い。
たいていの場合は「理論的に色々言ってるけどさぁ、じゃあ具体的にどういう風にしたらええの?」とか「あぁしろこうしろっていうけどさぁ、それって的を射てない、っていうか説得力なくね?」みたいな感じ。
おそらく一般的なマーケティング本ってのは理論武装的、つまり具体的提案力を発揮する方法がわからん?ってのが多いのでしょう。
そういう点で、この本は大変ユニークでした。
読んでるだけで色々とアイディアが出てくるから面白い。
特にモーフォロジカル・アプローチについては誰でも程度の差こそあれアイディアマンになれる道具って感じがしました。
イメージスキルに関してはやはり場数を色々踏むのが重要で、田舎暮らしや社交性社会性の低さはマイナス要素ですね。。。
誰か助けてください!、…。


企業でマーケティングや営業、開発の仕事をされている方は読めば確実に仕事の幅というか、仕事における自分の思考の幅が広げられると思います。それにきっと仕事が「今よりは」楽しくなるでしょう。
これから社会人になる学生さんにとっても大変有益な本になるのではないでしょうか。
佐藤さんもおっしゃってますが、ここで紹介されている後天的に身につけられる力について、その習得のヒント・方法が詰まってます。
日本人は概して、方に何かを当てはめるのを得意としていますから、ここまで詳しくアプローチの仕方が書かれていれば、クリエイティビティを発展させることができるのではと思います。
人間の思考における可能性は、遺伝子のみによらないという風に思われます。
これだけ詰まって1,500円ほどですからホンマに買いですね。
売れても私に得はないですけど。アフィリエイトの仕方も知らないでうから。
あと、読んでて思いましたが、研究者の方が実践すると案外面白いかもしれません。
大学の研究者の人でこういったアプローチをしている方というのはあまりお見かけした事がありません。
私も学生時代に研究に行き詰った当時にこういったアプローチが出きっていたらなぁ…と思います。
この悔しい思いは今の仕事で晴らすしかないでしょう。




今回読んだ本、皆同じような方向性(思考する)のものだったような気がします。
たまたま、そちらに興味の方向が向いていただけかもしれませんし。
それとも脳の性質によって、インプットした情報同士が結び付けられ、あらたな(自分にとっては)ですが考え方としてそう感じられたのかもしれません。
やっぱ、色々な事を知ることは楽しいし、読書は場所を選ばずにそれを実現させてくれる手段だなぁと思います。
古今東西、人生を豊かにする上で最高峰の手段でしょう。
テレビ上にも情報はあふれていますが、明らかに選択肢が少ないし、マスコミのバイアスがかかった情報が多いのでやはり、書籍が良い気がします。
あとは、やっぱり人も含め生のものから学ぶのがよいのだろうなと思いましたから、社交性が低いなりに何か行動せねばなりません。
あら、もうこんな時間。そろそろ記憶の整理を始めないといけない時間だわ。